投資信託で信託報酬の低いファンドが出たら乗り換えるべき?計算してみた!

インデックス投資
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投資信託に投資して時間が経ってくると、同じコンセプトで信託報酬の低いファンドが新しくリリースされることがあります。

このような場合に疑問になるのが

新しいファンドに乗り換えた方が良いのかな?

ということだと思います。

そこで本記事では、このような疑問に対して

  1. 既存ファンドを保有して投資し続けたほうが良いか
  2. 既存ファンドを売却して新規ファンドに乗り換えた方が良いか
  3. 既存ファンドは保有しつつ新規ファンドに投資した方が良いか

上記3種類をシミュレーションしてみて、どれが一番良いか考えてみます。

それでは見てみましょう。

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シミュレーションする際の前提条件を確認(楽天VTI、SBI・VTIでシミュレーション)

まずは前提条件から確認していきましょう。

今回はシミュレーション対象の投資信託として

  • 楽天・全米株式インデックス・ファンド(以降は楽天VTIとします)
  • SBI・V・全米株式インデックス・ファンド(以降はSBI・VTIとします)

を使用します。

上記のファンドは、米国株ETFのVTIを投資信託にパッケージ化したもので、本ブログでもおすすめしている投資信託になります。

楽天VTIとSBI・VTIを比較したものを表にまとめました。

ファンド名設定日信託報酬
楽天VTI2017/9/290.162%
SBI・VTI2021/6/290.0938%

楽天VTIがはじめに運用が開始して、その約3年後にSBI・VTIの運用が開始したということですね。

SBI・VTIの方が後発ということもあり、信託報酬を低く設定して先を行く楽天VTIに対抗しようとしています。

この状態で以下の条件で投資していきます。

  • 共通のリターンは5%とし、その5%から信託報酬分を差し引いたリターンで計算する
  • 毎月3万円を20年間投資する
  • 楽天VTIとSBI・VTIの状況に近づけるため、楽天VTIに投資してから3年後に乗り換え、または新しく投資する
  • シミュレーションには積立計算(複利毎課税)を使用する

それでは、実際にシミュレーションしてみましょう!

楽天VTIとSBI・VTIでシミュレーションしてみた!

シミュレーション①:楽天VTIをそのまま保有しながら投資した場合

シミュレーション①の場合、楽天VTIにひたすら投資し続けるだけなので最もシンプルですね。

実際の入力値は以下の通りです。

年利率は、共通のリターン5%から信託報酬0.162%を引き算した4.838%になります。

計算結果は1200万9459円でした。

シミュレーション②:楽天VTIを3年後に売却しSBI・VTIに乗り換えて投資した場合

シミュレーション②から少し計算が複雑になります。

まず楽天VTIを3年積み立てます。

3年間積み立てた結果は116万2868円になります。

シミュレーション②では楽天VTIを売却しSBI・VTIに乗り換えるため、この時点で楽天VTIを売却します。

売却すると利益に対して約20%の税金が発生するため、116万2868円のうち利益部分にあたる8万2868円に20%の税金が発生します。

結果として114万6294円になりました。

この金額をそのままSBI・VTIに投資し残りの17年間、毎月3万円ずつ積み立てていきます。

年利率は、共通のリターン5%から信託報酬0.0938%を引き算した4.9062%になります。

計算結果は1206万854円でした。

シミュレーション③:楽天VTIをそのまま保有し続けて新しくSBI・VTIに投資した場合

シミュレーション③も少し複雑です。

楽天VTIを3年間積み立てる部分はシミュレーション②と同じです。

3年間積み立てた結果は116万2868円になります。

シミュレーション③では楽天VTIを売却せずにそのまま保有し続けます。(毎月の積み立ては停止します)

そのため以下のようになります。

楽天VTIの計算結果は259万6558円になりました。

楽天VTIの毎月積み立てを停止した分は、新しくSBI・VTIに投資していきます。

その条件は以下のようになります。

SBI・VTIの計算結果は947万2683円になりました。

シミュレーション③では楽天VTIとSBI・VTIの合計金額が計算結果となります。

計算結果は1206万9241円でした。

シミュレーション結果: 楽天VTIをそのまま保有し続けて新しくSBI・VTIに投資した場合が一番良かった

改めてシミュレーション①~③の結果を表にまとめてみました。

シミュレーション名計算結果
①楽天VTIをそのまま保有しながら投資1200万9459円
②楽天VTIを3年後に売却しSBI・VTIに乗り換えて投資1206万854円
③楽天VTIをそのまま保有し続けて新しくSBI・VTIに投資1206万9241円

わずかな差でしたが、既存ファンドは保有しつつ新規ファンドに投資した方が良いという結果になりました。

個人的には②は税金を払っているのでリターンが悪くなると思っていました。

しかし今回の場合、投資を始めてから3年という短い期間で乗り換えたことで、税金の支払いが少なく抑えられたことが要因でリターンに差が生まれませんでした。

おまけとして

おまけ:eMAXISシリーズとeMAXIS Slimシリーズでシミュレーションしてみた!

おまけとして、eMAXISシリーズからeMAXIS Slimシリーズに乗り換えようとする場合で、シミュレーションしてみました。

eMAXISシリーズとeMAXIS Slimシリーズは、どちらも三菱UFJ国際投信が運用しており名称も似ていますが、それぞれ以下の特徴があります。

  • eMAXISシリーズは幅広い品揃えを取り揃えていることが特徴
  • eMAXIS Slimシリーズは業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続けることが特徴

eMAXISシリーズは2009年頃から存在しており、その後2017年に信託報酬が低いeMAXIS Slimシリーズが登場したことにより、乗り換えるかどうか迷った方も多いと思います。

そこでeMAXISの中から

  • eMAXIS 先進国株式インデックス(以降は先進国とします)
  • eMAXIS Slim 先進国株式インデックス(以降はSlim 先進国とします)

を利用して乗り換えた場合にどうなるかをシミュレーションしていきます。

まずは各ファンドの情報です。

ファンド名設定日信託報酬
eMAXIS 先進国株式インデックス2009/10/280.66%
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス2017/2/270.1023%

続いて投資条件です。

  • 共通のリターンは5%とし、その5%から信託報酬分を差し引いたリターンで計算する
  • 毎月3万円を20年間投資する
  • 先進国とSlim 先進国の状況に近づけるため、先進国に投資してから8年後に乗り換え、または新しく投資する
  • シミュレーションには積立計算(複利毎課税)を使用する

それでは結果だけサクッと見てみましょう!

シミュレーション名計算結果
①先進国をそのまま保有しながら投資1136万8018円
②先進国を8年後に売却しSlim 先進国に乗り換えて投資1175万1339円
③先進国をそのまま保有し続けて新しくSlim 先進国に投資1138万5230円

楽天VTI、SBI・VTIのときとは異なり、 既存ファンドを売却して新規ファンドに乗り換えた方が良いという結果になりました。

これは先進国とSlim 先進国の信託報酬に6倍も差があったので、税金を払ってでも乗り換えた方が良かったということですね。

条件によって答えが変わることがわかりましたので、乗り換えを検討する際はしっかり調べてみるのが良いでしょう。

まとめ:投資信託で信託報酬の低いファンドが出たらシミュレーションをしてみて乗り換えるべきか検討してみよう!

本記事では、投資信託で信託報酬の低いファンドが出たら乗り換えるべきかという話題について、以下の3パターンでシミュレーションしてみました。

  1. 既存ファンドを保有して投資し続けるパターン
  2. 既存ファンドを売却して新規ファンドに乗り換えたパターン
  3. 既存ファンドは保有しつつ新規ファンドに投資するパターン

このシミュレーションをするにあたって、以下のファンドを利用しました。

ファンド名設定日信託報酬
楽天VTI2017/9/290.162%
SBI・VTI2021/6/290.0938%

投資の条件としては

  • 共通のリターンは5%とし、その5%から信託報酬分を差し引いたリターンで計算する
  • 毎月3万円を20年間投資する
  • 楽天VTIとSBI・VTIの状況に近づけるため、楽天VTIに投資してから3年後に乗り換え、または新しく投資する

としました。

実際にシミュレーションしてみた結果、

シミュレーション名計算結果
①楽天VTIをそのまま保有しながら投資1200万9459円
②楽天VTIを3年後に売却しSBI・VTIに乗り換えて投資1206万854円
③楽天VTIをそのまま保有し続けて新しくSBI・VTIに投資1206万9241円

上記の表のようになり、僅差ではありますが既存ファンドは保有しつつ新規ファンドに投資するパターンが最も良い結果となりました。

また、おまけとして以下のファンドでもシミュレーションしてみました。

ファンド名設定日信託報酬
eMAXIS 先進国株式インデックス2009/10/280.66%
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス2017/2/270.1023%

投資の条件としては

  • 共通のリターンは5%とし、その5%から信託報酬分を差し引いたリターンで計算する
  • 毎月3万円を20年間投資する
  • 先進国とSlim 先進国の状況に近づけるため、先進国に投資してから8年後に乗り換え、または新しく投資する

としました。

こちらも実際にシミュレーションしてみた結果

シミュレーション名計算結果
①先進国をそのまま保有しながら投資1136万8018円
②先進国を8年後に売却しSlim 先進国に乗り換えて投資1175万1339円
③先進国をそのまま保有し続けて新しくSlim 先進国に投資1138万5230円

となり、先ほどとは異なり既存ファンドを売却して新規ファンドに乗り換えたパターンが最も良い結果となりました。

両者からわかることは

  • 既存ファンドと新規ファンドの信託報酬の差が大きければ、既存ファンドは売却して新規ファンドに乗り換え
  • 既存ファンドと新規ファンドの信託報酬の差が小さければ、既存ファンドはそのまま保有し続けて新規ファンドに投資

ということです。

ただし上記の結果だけで、すべて考えてしまうのは良くないです。

この他にも

  • 運用期間(本記事では20年だったが違う期間だとどうなるか)
  • 隠れコストを含めた実質コスト(投資信託のランニングコストは「信託報酬+隠れコスト」であるため)
  • 乗り換えるタイミング(楽天VTIからSBI・VTIへの乗り換えは3年としたが、別のタイミングだとどうなるか)
  • 既存ファンド自体が信託報酬を引き下げる可能性

など、シミュレーションしきれない内容もたくさんあります。

また信託報酬が低いからといって新規ファンドが登場した瞬間、安易に飛びつくのも危険です。

  • 思ったより人気が出ない
  • 隠れコストが高い
  • トラッキングエラーが大きい(※指数のリターンとの乖離する幅のこと)

可能性があるため、十分に見極めた上で新規ファンドに投資する必要があります。

ただし個人的な意見としては、今の時代は信託報酬が低いファンドが多いため、実績が確認できたら既存ファンドは保有しつつ新規ファンドに投資で良いと思います。

細かいところまで気にしたい方は、本記事を参考にシミュレーションしてみてください。

ちなみに、投資初心者によくおすすめされるつみたてNISAですが、つみたてNISAの場合は売却するのはNGです。

本記事のeMAXISシリーズ、eMAXIS Slimシリーズのシミュレーションでは売却して乗り換えた方が良かったです。

しかし、つみたてNISAは一度売却してしまうと非課税枠を失ってしまいます。

そのため、つみたてNISAでは既存ファンドは保有しつつ新規ファンドに投資するようにしてください。

参考になれば幸いです。

関連記事です。

初心者の方は、まずインデックス投資から始めることをおすすめします。

記事の最後でも触れましたが、つみたてNISAは国が用意した非課税制度でインデックス投資とも相性が良いです。

まずはつみたてNISAから始めて非課税枠を埋めることをおすすめします。

また、つみたてNISAでもシミュレーションしています。

インデックス投資で資産を増やした後、どのように売却していくのかについて解説した記事になります。

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